茨城エリアでの「パープルシャドウ」とのバトルに辛勝した拓海は、ハチロクの整備が完了するまでの間を使って埼玉県・定峰峠にやってきた。樹のたっての願いもあり、この地で開催される公道レースを見学しようというのだ。そんなふたりの前に拓海と啓介を名乗るニセ「プロジェクトD」のふたり組が出現。拓海は相手にするつもりはなかったのだが、偽者が自分の名を使って女の子をナンパしていると聞き、真相を究明しようと決心する。
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七曲りでの「チーム・スパイラル」戦はコースに濃い霧が発生して視界を妨げる悪コンディション。一切の感情を廃してマシンの挙動に従う「ゼロ理論」の使い手である池田もこの霧には閉口し、恐怖心からアクセルを開けるのを躊躇するほどだった。一方、啓介は霧など意に介さずにアクセルを踏み込んでいく。啓介は「ゼロ理論」では計り知れない駆け引きを考え出し、視界の効かないなかでイチかバチかの賭けに挑もうとしていた。
タイヤを使い尽くしてでも追いつこうとする拓海だが、どうしても信司についていけずに焦りばかりが募ってしまう。ハチロクに搭載した超高回転型エンジンは直線では信司に勝っているものの、コーナーになると差が開いてしまうのだ。つまり信司が速いのはマシンスペックではなく実力のせいだ。そのことに思い至った拓海の脳裏に敗北の二文字がよぎる。しかし「プロジェクトD」の看板を背負った今、負けるわけにはいかなかった。
バトルはいよいよ終盤戦。通常のダウンヒルバトルでは考えられないほどの抜きつ抜かれつの展開に、拓海のハチロクはタイヤもエンジンも限界まで消耗してしまう。そしてゴール手前のコーナーで、グリップを失ったハチロクがスピン。直後を走っていた信司も思わずブレーキを踏みこんでしまった。一方、スピン程度で勝負を諦め切れない拓海は、ハチロクの体勢を立て直すとバックギアでゴール。勝利への執念が勝敗を決することになった。
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