巨大コンピューター・ユピテルが支配する中央都市・タナグラ。その特権階級の居住地であるエオス・タワーにリキは囚われていた。究極のエリート人工体・金髪（ブロンディー）のひとり、イアソン・ミンクのペットとして。自由と尊厳を奪われ、淫らに調教されながらも飼い馴らされようとはせず、周囲に反抗するリキ。そしてある日、強固なセキュリティで守られたエオスのエントランス・ゲートに佇むリキの前で、突如開くはずのない扉が開く。前代未聞の脱走事件を起こしたリキに、イアソンは…。

歓楽都市・ミダスの郊外、特別自治区ケレス。厳しい階級社会の中で最下層に位置するこのエリアは、通称スラムと呼ばれていた。イアソンによって3年振りに古巣のスラムへ戻されたリキは、かつての仲間たちと再会する。そこにはリキが唯一心を開くパートナー、ガイの姿もあった。不良グループ「バイソン」の頭を仕切り、圧倒的な存在感を放っていたリキの帰還は不愉快な噂と共にスラム中に広まるが、言い訳もせず時折憂いの表情を浮かべるリキ。ガイはそんなリキの変貌に僅かな戸惑いを感じていた。

ガイたちの新たな仲間に加わったキリエは、スラムに戻ってきたリキに対してライバル心を抱いていた。キリエの強引な誘いで人型愛玩具が出品されるペット・オークションを見に行くことになったリキは過去の恥辱を忘れる事ができず、「成り上がりたい」という欲求をさらけ出すキリエの言動に苛立ちを覚える。一方、リキを解放したままペットを持たずにいたイアソンも同種のブロンディー、ラウールの勧めでオークション会場へ向っていた。虚飾と欲望に彩られた街で、再びリキとイアソンは邂逅する…。

ペット・オークション会場でイアソンと思わぬ再会を果たしたリキ。ショックを隠せないリキは場末のショット・バーで酒をあおりながら、快楽に喘い苦い記憶を呼び覚ましていた。全ての始まりは3年前のあの夜。人混みに紛れて懐から金品を奪い、競うように不夜城ミダスをクルージングするスラムの雑種。生き残るための糧とスリルを味わうためにカモを物色していたリキは、不意に背後から手首を掴まれる。冷徹な声と共に彼を捕らえたのは、特権階級の頂点に立つブロンディーのイアソンだった…。