Yu Gongfeng — Background Designer
エピソード 5
The Faerie Queene.
本来還るべきところに、還っていく魂たち。それを見送りながらチセは自身を想う。ウルタールの一件から10日と数日が過ぎても、チセは眠りに落ちたままだった。彼女を案じるエリアスとサイモンの前に、予期せぬ客が姿を現す。それは常若の国(ティル・ナ・ノーグ)の主。ブリテンの夜の一角を統べるもの。妖精たちの女王(ゲアラハ)、ティターニア。
もっと読むLet sleeping dogs lie.
アリスは変貌したエリアスを見て、直感する。 これは、けしてヒトには為り得ぬものだと。レンフレッドとアリスを操り、 黒妖犬(ブラック・ドッグ)を手に入れようとしていた魔術師カルタフィルス。 彼の「作品」にチセを傷つけられたエリアスは、今までとは違う異様な姿と力の片鱗を見せる。エリアスを知る魔術師たちは彼をこう呼ぶ。 裂き食らう城(ピルム・ムーリアリス)、と。
もっと読むWe live and learn.
海豹人(セルキー)と共に竜の背に乗り、 チセはリンデルの許へと向かう。 自分だけの、魔法使いの杖を作るために。エリアスに「飼われるままでいる」ことを 拒もうとしないチセを見かね、 リンデルは夜の闇の中から エリアスを見出した頃の話を始める。そのころ、独り残るエリアスに 魔術師たちの集う場、学院(カレッジ)からの便りが届いていた。
もっと読むLovers ever run before the clock.
ヒトのふりをしたがる、奇妙な為り損ない。 いつしかエリアスが 己のことを話さなくなったのは、 師の教え故か、 人への苦い記憶がそうさせるのか。リンデルの二つ名、百花の歌(エコーズ)の由来。 その歌は雪解けの水音に似て、朗々と風に乗り、 季節外れの開花と妖精たちの輪舞を現出させる。そして歌の魔力は チセが覗き込む水面(みなも)を水鏡に変えた。 水鏡の向こう側に見える姿はもちろん──。
もっと読むBetter to ask the way than go astray.
完成した杖に触れた瞬間、チセは幻視する。無数の閃光の先に広がる、霧に包まれた巨木の群れを。 縁(えにし)の糸が結ばれ、彼女はかつて見送った竜と再会する。自ら命を絶った母、自分を置いていった父。 その本当の思いは、今となっては知る術はない。しかし今のチセには、伝えたい思いと言葉、 そして伝えるべき相手がいる。切なる思いは彼女をはるか遠く、帰るべき場所へと運んでいく。
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